今回のテーマは、

『<年末調整>

令和8年分の扶養控除等申告書は記載誤りが続出!?』です。

令和7年度税制改正により、

大学生世代の子を対象とする「特定親族特別控除」が創設され、

令和7年分以後の所得税に適用されます。

この改正に伴い、

令和8年分以後の給与の源泉徴収事務において使用する

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

(以下、扶養控除等申告書)の記載事項も変更され、

例年以上に記載誤りの発生が懸念されます。

□■━━━特定親族特別控除における100万円の分岐点━━━■□

令和8年分以後、

扶養控除等申告書に記載すべき親族は

「源泉控除対象親族」と定義されました。

この「源泉控除対象親族」には、

従来の控除対象扶養親族(合計所得58万円以下)に加え、

19歳以上23歳未満の特定親族のうち、

合計所得金額が58万円超100万円以下の人も含まれます。

特定親族特別控除の対象となる親族の

合計所得金額の上限は123万円ですが、

扶養控除等申告書に記載するのは、

このうち合計所得金額100万円以下の場合に限られます。

▼詳細はこちら

国税庁「Ⅳ 令和8年分の給与の源泉徴収事務」

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2025/pdf/113.pdf

□■━━━源泉徴収事務に与える影響━━━■□

毎月の給与計算においても、

扶養控除等申告書に記載された「源泉控除対象親族」に基づいて、

扶養親族等の人数をカウントし、源泉徴収事務を行います。

100万円を超える層(100万円超123万円以下)は、

年末調整で控除が反映されますが、

月々の源泉徴収事務における

扶養人数のカウントからは除外されます。

したがって、扶養控除等申告書にて

源泉控除対象親族などの記載誤りがある場合には、

毎月の源泉徴収税額が正しく計算されません。

給与計算の担当者においては、

従業員から提出された申告書の内容について、

正確な判断と確認作業が求められます。

□■━━━まとめ━━━■□

令和8年分の扶養控除等申告書は、特定親族特別控除の創設により、

記載対象者の所得要件に新たな分岐点(100万円)が設けられました。

企業は「源泉控除対象親族」の定義と所得基準を正しく理解し、 従業員への周知と確認作業を徹底することが重要です。